杉と桧の産地 高知県に視察してきました
2016/12/06
土手加藤材木店の加藤です。
高知県の杉と桧の視察の続きです。
前回は初日の視察の様子をご紹介しましたが、
今回は2日目の視察の様子をご紹介します。
初日は車の移動時間が長かったせいか、
夕方に宿泊するホテルに着いた時には結構疲れていました。
なにせ高知県は県の面積が大きいので、車で移動するにもすごく時間がかかります。
また高速道路があまり整備されていないのか、一般道路での移動が多いです。
とはいっても木材の産地の視察なので、
当然山深い場所になるので高速道路などはありませんがね。
2日目も朝早くから移動なので、
朝食を早く済ませてホテルの外に出たらすでに車でお出迎えが来ていました。
前日の夕方は、
高知木材センターの担当者とカツオのたたきと地元のお酒で楽しいひと時を過ごすことができました。
やっぱり高知のカツオは美味い!
酒もこれまた辛口で美味い!
最高の宴でした。
前日のお酒が少し残る中、さっそく目的地に出発です。
午後の飛行機で東京に帰る予定なので、
2日目は一か所だけの視察となりました。
向かう先は高知県立森林技術センターです。
ホテルから約1時間半ほどで技術センターに到着しました。
やはり山の中腹にあるこの施設は、
高知県が設立した公的な木を研究する技術機関で、
県産材の杉や桧などの強度や乾燥などの様々な技術を研修するところです。
このように山深い場所に位置するこの施設からの山間部の眺めは大変にきれいです。
空気もすごく澄んでいて本当に落ち着く場所です。
そんな施設に一歩踏み入れてみると、
外観からは想像できないくらいの機械設備が整っていました。
杉や桧の強度を測定するための機械です。
この場所で様々な測定がされています。
ここを過ぎて、次に案内された部屋にあったのがこちらです
なにやら機械に木材がセットされているのですが、
これは木材のたわみを測定しています。
この測定は大変興味深いものでして、
今回の視察で最も大きな収穫を得ることができたのがこの測定です。
横たわっているのは杉の梁部材です。
断面は120×300で強度E90は6本全て同じで、違うのは乾燥状態。
つまり含水率がすべて違うというものです。
梁の中央部分に赤い鉄骨が吊るされています。
この鉄骨の重さを長期荷重と見立てて、含水率が違うおのおの梁部材のタワミ量を測定しています。
一番手前の2本の杉の梁部材は、いわつるグリーン材(未乾燥状態)、
次の2本が天然乾燥(自然乾燥)で含水率50%です。
そして一番奥の2本は人工乾燥(機械乾燥)で、含水率15%以下です。
この画像の測定を始めてすでに何年も経っているので、
相当乾燥は進んではいますが、測定を始めて段階ではまるっきりの未乾燥部材。
わかりにくいかもしれませんが、
一番手前のグリーン材の梁部材の中央部分がたわんでいます。
しかも現場では明らかに目で見てもわかるくらいまでたわんでいます。
その奥の天然乾燥の部材もグリーン材ほどではないのですが、
やはりたわんでいます。
一番奥の機械乾燥による人工乾燥の梁はまるっきりたわんでいません。
この測定は何を意味するのかというと、
乾燥状態のよくない梁を使用すると部材は荷重によってたわんでくるということです。
この乾燥収縮によるたわみはクリープ現象とも呼ばれ、
家つくりにおいては絶対に避けなければなりません。
無垢材の家つくりをする場合には、この乾燥をよく見極める必要があります。
それには長年の木の目利きが必要になります。
集成材ではこのような目利きは必要がありませんが、
無垢材を扱う以上はこの乾燥へのこだわりは非常に重要です。
この測定を見させていただき木材の乾燥の重要性を改めて感じることができました。
こちらは断熱性のを測定する機械です。
とりあえす今回はこれで終わりです。
2日間を通して大変勉強になりました。