国産材自給率の増加は中大規模木造建築にも影響します
2016/12/06
土手加藤材木店の加藤です。
先日ある業界紙を読んでいて、
「国産木材の自給率が2014年に30%まで増加」
というような記事を見かけました。
土手加藤は今は台東区の浅草で小さな工務店をしているのですが、
元々はここ浅草で明治26年創業の材木店です。
材木の相場や流れを知るために可能な限り市場を訪れるのですが、
好景気のころの面影は残念ながら見られません。
皆さんもまだ覚えていると思いますが2014年といえば木材利用ポイントがあった年で、
このポイントの影響はものすごくありました。
国産材を使用しているプレカット会社などは受注がいっぱいで、
国産の杉や桧の柱などは供給不足となりプレカットも2か月待ちというような状況になったこともあり、
価格は桧管柱が㎥=100,000円を超えて、
桧の本来の価格に戻るのかなと思いました。
またこの国産材の自給率増加には、
木材バイオマス発電の影響がかなりあるのを忘れがちです。
各地の木材産地を訪れると必ずバイオマス燃料の為の木材が広大な敷地に横たわっています。
エネルギーの大半を海外から調達する我が日本では確かに有効利用ではあります。
林野庁も地域の木材を地域で使うような政策を推し進めていて、
この普及活動も少しずつではありますが、
効果が出てきているような気がします。
また木材の利用が進む中で、
いままではRCやS造でしか造れなかった中大規模建築物も木造で造れるようになってきています。
これは2010年に施工された「公共建築物等木材利用促進法」によって、
国が建てる建築物を木造で造るという政策で、
これによって木造での中大規模建築物が多くなってきました。
ただし中大規模建築物の建築にはそれなりの工法の開発や、
新たな木材による素材の開発も必要になります。
今注目のCLT(直行集成板)もこの流れから開発された部材で、
木材とは思えないほどびっくりするような強度があります。
このCLTの強度は高知県の森林技術センターで聞くことが出来ましたが、
本当に木なの・・・?
と思うような強度結果を見ることが出来ました。
木材の自給が増えれば供給側にも必ず影響はあるので、
このような取り組みはぜひ応援したいものですね。