防火地域で木造の化粧梁は見せられるの?
2016/12/06
おはようございます。
台東区で工務店をしている土手加藤材木店の加藤です。
今日は成人の日ですね。
朝から振り袖姿の新成人が慣れない足取りで成人式に向かっていました。
ちなみに土手加藤の新人社員大工の真利子君も今日が成人式です。
新成人の皆さん おめでとうございます。
さてさて、木の家の注文住宅をしている土手加藤ですが、
木の家を建てたいと検討中の方から、「防火地域ではこんなような感じの木の梁は見せられないの?」
というような小生としては耳が痛い質問を頂きます。
最初にお答えします・・・
2階建てはできますが、3階建てはできません・・・
自分達の家づくりのイメージを伝えるために、わざわざ雑誌などを持ってきていただいて申し訳ないのですが・・・
3階建てはできないんです。
台東区や墨田区などは、そのほとんどが防火地域に地区指定されているので、
この防火地域で木造の家を建てる際には構造体である柱、梁は全て耐火被覆しなければなりません。
耐火被覆とは不燃材である石膏ボードなどで構造材を覆う作業を言います。
防火地域における木造の2階建て、100㎡未満の住宅の耐火性能は「準耐火構造」と呼ばれるものです。
以前も防火地域に関してここでも書いたので今回は詳しいことは避けますが、
簡単にいうと構造体は石膏ボードで覆ってくださいというものです。
ただし「燃えしろ設計」という手法で2階建ての準耐火構造は表しの梁などはできます。
こちらの現場は防火地域内の耐火構造の建物なので、柱を耐火被覆するのは当然ですが、
準耐火構造の建物もこのように柱は石膏ボードで覆わなければなりません。
きれいな桧の柱なので、よくお客さんからも「もったいないね、そのままじゃだめなの・・」と言われます。
何度も同じことの繰り返しですが、「3階建てはできないんです・・・」
こちらは防火地域にの2階建て準耐火構造の建物ですが、
リビング上部は空間の広がりを見せるために勾配天井としています。
画像の○印は登り梁と呼ばれる構造体です。
通常ですと化粧梁を見せて木の優しい質感を強調したいところですが、
画像の角度が違うので少し分りずらいかもしれませんが同じ現場の画像です。
斜めに見えていた梁は残念ですが石膏ボードで全て隠しました。
このお宅は全て石膏ボードで隠しましたが、
先ほども書きましたが、
2階建てで準耐火構造であれば「燃えしろ設計」という設計手法で柱や梁を表しで見せることが出来ます。
無垢の木は人間と同じで一つとして同じ表情の部材はありません。
これはデザイン性に置き換えて表現するなら、木自体が持つデザイン性は大変クオリティーが高いと言えます。
クオリティーが高い木の梁を隠すという事はものすごくもったいないのですが、
防火地域では3階建ては耐火構造になるのでどうしようもありません。
それでも木の家づくりをしている土手加藤では、
天井の石膏ボードの上に羽目板を張るなどの工夫をして木の家を強調するようにしています。
こちらは3階建ての耐火構造の家で、
3階耐火天井の上に杉の羽目板を張ることで全体的に優しい雰囲気の部屋になりました。
また耐火構造の壁にも羽目板を張ることで木の家を可能な限り演出しています。
こちらは防火地域内の準耐火構造の住宅で、
化粧梁を見せない事にしましたが杉の羽目板を張って空間をナチュラルに仕上げました。
また杉の羽目板の張り方向を長手方向にすることで、
勾配天井による空間に広がりを見せることが出来ました。
「燃えしろ設計」で準耐火構造の住宅が梁や柱を見せことが出来るようになったことは大変喜ばしいことです。
ただし、防火地域の3階建ては今のところできません・・・・
本日はここまでです。