吉野に天然乾燥の桧柱と杉の梁の視察
2018/09/03
おはようございます。
土手加藤材木店の加藤です。
あっというまに梅雨が明けて夏到来。
東京も連日30°を超える暑い日が続いています。
そんな中今週は奈良県の吉野に材木の視察に行ってきました。
吉野は奈良県の中央東寄りに位置する林業が盛んな地域です。
豊臣秀吉が吉野の地を支配した際に、
この地域の天然林を伐採をして大阪城やお寺を造る際に使ったことが始まりですので、
それから500年間も代々植林がされてきたのですから歴史を感じます。
吉野では他の地域よりも特徴的でこだわった植林から伐採・乾燥・製材方法をしており、
この地域で林業に関わる人たちの材木への愛着は大変深いです。
それを表す事として、
通常は山で伐採をした材木をトラックで林道を使って下流の集積所に運びますが、
吉野ではこの林道がありません。
林道を造るくらいなら一本でも多くの材木を植えたほうがいいという発想だったらしいです。
市内から車で約1時間でようやく吉野に到着です。
始めに訪れたのが吉野製材工業組合・吉野材センターです。
ここは吉野にある沢山の製材所が加盟をする木材組合です。
ここでは吉野材の全てが集まり定期的にセリが行われ、
ここから東京を始め全国に搬送されます。
こちらに展示されているのは製材された材木です。
例えば柱や和室の内法材や廻縁などがものすごい量で並んでいます。
吉野と言えば何と言っても桧の役物の柱です。
ちなみに柱上部に刻印されている赤いマークが本物の吉野産を表していて、
吉野のブランドを守るためのマークです。
役柱なので当然背割れ付の天然乾燥です。
含水率計で測定するとおおむね15~20%程度となっています。
ここまで乾燥させるには製材までの過程に吉野林業のノウハウがあります。
これが前段で説明をした吉野のこだわりの技術と言えます。
こちらはダイニングテーブルやカウンターなどに使われる桧の平板です。
いずれも無節の高級品です。
ここからはセンターを後にして製材工場の視察です。
こちらは杉の梁・桁材。
工場裏にある林場には大量の杉の梁材が野ざらしにして自然乾燥をしてある程度含水率を下げます。
この後に低温乾燥をして再び自然乾燥をさせます。
こちらは桧の柱を乾燥されてから必要寸法に製材をしています。
材木は乾燥の過程で狂いが出ますので、
その狂いを製材することで直します。
驚くほどの杉の長尺材が横たわっています。
全て自然乾燥しています。
真っ黒ですが削ると驚くほど綺麗な吉野杉の木肌が現れます。
真ん中の部材は桧の目込みの桧柾目の良材。
尾州(木曽桧)と間違えるほどの綺麗な柾目です。
杉の一番の問題は含水率が落ちない事。
つまり乾くのに時間がかかります。
特に梁や桁などの芯を持った置きな断面の部材は特に乾燥に時間がかかります。
全国の製材工場の悩みは皆さん同じです。
高温乾燥(高温減圧)をして一気に乾燥させる方法もありますが、
生産者のこだわりもあり皆さんその感想方法には苦労しています。
吉野では高温乾燥をしないで低温乾燥か自然乾燥にこだわっています。
重要なことは材木は割れることで乾燥をして強度が上がります。
こちらは広葉樹の栗です。
吉野地方は広葉樹も育ちます。
今回の吉野の視察では吉野センターの職員の方々に大変お世話になりました。
ありがとうございました。