国産材の有効活用には乾燥が重要

      2017/02/24

高知県の杉の製材工場

高知視察 高知木材センター

 

おはようございます。

土手加藤材木店の加藤です。

 

先日ある地方の製材工場の社長とお話しする機会があり、

その中で木材の乾燥に関して熱い議論がありました。

日本ではJASとよばれる木材のある一定の基準を示す制度みたいなものがあります。

現実にはこのJASの認定を受けている製材工場はまだまだ少ないです。

誤解の無いように書きますが決してJAS認定工場でなければならないという事ではありません。

日本ではそれぞれ木材の製材方法はその産地で長年積み重ねてきた手法があり、

それが木の文化を育んできたとも言えます。

自然乾燥による材木の木肌は大変美しいです。

造作材などの薄物は自然乾燥が一番ですが、

実は柱や梁などの断面が大きい部材は自然乾燥ではちょっと難しいんです。

 

仕上がった太鼓丸太

 

今回は柱や梁など構造材の乾燥に関して取り上げてみます。

品確法が制定されて以来木材の乾燥に関しては大変厳しい基準が確立されてきました。

特に構造材である柱や梁に関しては最も頭が痛い所であるのですが、

各地の製材工場の日々の苦労によって徐々に解消されてきました。

日本で使用される梁で最も多く使われているのは、

集成材を抜かしては米松です。

新木場などの梁専門店などではすでに何十年も前から米松しか扱わないところが多かったです。

米松以外で使用される梁は桧や杉が代表的です。

特に戦後植林された杉は今まさに伐採時期にきていて、

もっと使用できるようにするべきと考えています。

それには杉や桧を具体的な使用しやすいようにすることが大切なんです。

 

沢山の無垢材が山積み

 

国土交通省が定める基準強度は、

米松

等級 Fc(圧縮) Ft(引張) Fb(曲げ)
E70 9.6 7.2 12.0
E110 24.6 18.6 30.6

 

等級 Fc(引張) Ft(圧縮) Fb(曲げ)
E70 23.4 17.4 29.4
E110 32.4 24.6 34.8

 

この表の縦軸は材木の強度と考えていただければ結構です。

E70よりE110の方が強度が強いという事です。

注目していただきたいのが、

米松と杉では同じE70でも杉の方がFc、Ft、Fbといずれの数値も大きいということです。

米松のE110の数値と、杉のW70の数値はほとんど変わらないことも分かります。

ご存知の方もいるとは思いますが国産の杉の流通のほとんどは等級E70です。

E110のものはほとんどないのが現状ですが、

この表から強度的にも何も問題ないことは明らかです。

強度E70というだけで杉は強度不足と言うのではなく、

きちんと強度の比較をしてその中で部材を選択してみてもいいのではないでしょうか。

もっと言えば、

E110の強度でないといけない理由は何なのかという事です。

この問いに明確に回答できる設計士や工務店が何人いるのでしょうか。

 

高知県の杉の製材工場

 

少し話がそれましたが

何を言いたいのかと言うと、

国産の杉をJAS認定工場のもとに機関乾燥をきちんとすれば今より格段に可能性が広がります。

 

「俺の所はちゃんと乾燥しているから大丈夫だ」

わかる・・分る・・社長の事は信じるよ・・

でも時代の流れは早くて、そんなことを言っている場合ではない。

 

国産材の普及をもっと皆で考えてみたいものです。

 

 

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