漆喰(しっくい)の特徴と効果
2016/12/06
台東区で工務店をしている土手加藤材木店の加藤です。
今年は暖冬傾向という天気予報ですが、今日に限っては朝から寒いですね。
暖冬の影響で各スキー場では、
雪が降らないためにオープンを延期しているところが多いようですね。
やっぱり冬は冬らしく寒い方がいいということでしょうね。
さてさて以前外壁材の種類について書きました。
今回はその中でもご紹介した伝統的左官工法の漆喰について書いてみます。
住宅の生産化や工期短縮の影響により、外壁工事に関しても窯業系のサイディングなど、
工場であらかじめ生産された部材の使用頻度が増える一方、
漆喰などの伝統的な左官工法は昔に比べて大幅に減りました。
それでも近年では食の安全性も含めた健康ブームの影響もあり、
注文住宅やリフォームにおいても自然素材の注目が高まり始め、
漆喰や珪藻土といった左官壁が再び人気になってきました。
漆喰のイメージというと「白」。
国宝で世界遺産にも登録されている姫路城(白鷺城)は、今年の3月に平成の大修理を終えたばかりですが、
この改修工事で使用されたのも漆喰です。
真っ白すぎてなんか変・・
と思う人多かったほど漆喰の白さは際立っています。
実際には創建当時の外観を復活させただけで、何か恣意的に白くしているわけではないいんです。
姫路城では屋根にも漆喰が使われているので余計そう感じるようですね。
見る角度によっては真っ白ですもんね。
漆喰は外壁材のみではなく建物の内部にまで使われれることでも有名で、
真っ白い漆喰を壁に塗ることで梁や柱がより一層引き立ち、
木目が強調されて優雅で落ち着きのある建物になります。
もともと左官と木はデザイン性も含めて相性がいいんでしょうね。
地方で見かける土蔵などでも防火性がある漆喰を使っています。
漆喰と珪藻土の比較がありますがどちらも自然素材で、
調湿機能があり大変優れています。
漆喰は外部にも使えますが珪藻土は内部にしか使えないことが違いとも言えます。
外部にも使えるという事は防水機能があるということにもなります。
漆喰は「石灰」(せっかい)という山で採れる天然鉱物資源が主原料になっています。
これに天然海藻でつくられる「糊」と、麻などの植物繊維の「すさ」を混ぜてできます。
今では日本古来の漆喰の他にも、スイス漆喰など海外で採れるものもあり一概に同じ原料とは言えませんがね。
糊の役割は職人がコテを使って塗る際に、
漆喰がスムーズに塗れるようにするための潤滑剤と考えればいいと思います。
すさの役割は水分を含んだ漆喰が乾燥収縮による割れを防ぐ役割があります。
これらの3つの原料が相互に助け合って自然素材の建築材料になるわけです。
漆喰の特徴としてまず挙げられるのは調湿効果と消臭効果です。
漆喰には多孔質の穴があり、これにより湿度を調整すると言われています。
湿度が多い時には水分を吸収して、湿度が低い時には吐き出すというもの。
無垢の木と同じような効果があるのは大きく分類すると自然なものという事でしょうかね。
また湿度だけではなく匂いも吸収する働きもあります。
トイレなどの限られた空間に漆喰を塗ってみて試すのもいいかもしれませんね。
もう一つあげられる代表的な特徴は防火性です。
漆喰の原料の石灰は不燃性の材料なので防火性に優れているといえます。
土蔵に漆喰が昔から使われている理由の一つに、
蔵の中の重要なものを火災から防ぐ役割を果たすためとも言われています。
自然素材の注目度の高まりと共に今では国内で生産される漆喰の数は多くなっています。
それぞれその製造産地の特徴があり製造方法も多少違いますが、
漆喰の良さを今一度見直す機会が増えればいいと思います。
それではまた次回お楽しみに・・