延焼ラインを上手に活用する

      2017/07/24

準耐火構造の屋根垂木と野地板

おはようございます。

土手加藤材木店の加藤です。

 

都内の防火地域で家づくりをしていると、

建築基準法による防火対策は厳しいです。

最近では規制が緩和されてきていていますが、

それでもややこしいことが正直多いです。

例えば・・・

防火地域で100㎡未満で2階建てならば準耐火構造で良いのですが、

この屋根部分だけにフォーカスをしてみると、

最近ではあまり出さなくなった屋根軒先。

屋根の軒は真夏の太陽高度が高い時には日中は室内への直射日光を防いでくれたり、

真冬の太陽高度が低い時には太陽光を室内に取り入れてくれます。

また雨による外壁の汚れを軽減してくれたりもします。

その軒裏は建築基準法において準耐火構造では不燃材で防火被覆することが義務付けられていますが、

規制緩和によって無垢の木の厚みを30mm以上確保すればそのまま表しにできることができます。

ただしこの表しの野地板を支える屋根垂木や破風板は規制の対象外なんです。

いまでは慣れっこになっていますが、新築設計を始めたころは正直戸惑いました。

 

軒裏準耐火構造の野地板

軒裏準耐火構造による野地板の表し

 

 

実はこれらは建物本体の防火規制で、

実は建物の周りから受ける延焼ラインという防火規制なんていうのもあります。

1階においては道路の中心線と隣地の境界線から3.0m以内で、

2階では同じく5.0m以内では防火規制が絡んできます。

この延焼ラインは基本的にはお隣さんが火災になった場合の防火規制ですので、

この延焼ライン内ではサッシなどの開口部は規制がかかります。

ところがこの延焼ラインから外れれば、

画一的な玄関のアルミ防火戸を木製扉にすることも可能です。

このような延焼ラインなどの防火の規制を上手に活用すれば、

まだまだ都心でも木の家を建てることは十分に可能です。

 

 

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