防火地域における木造の家の可能性
2016/12/06
台東区で工務店をしている土手加藤材木店の加藤です。
台東区などは防火地域という地区に指定されていますが、
今回は防火地域における木造の家の可能性について書いてみたいと思います。
それ以前に・・・
防火地域で木造の家は建つの・・?
という我々木の家づくりをしている工務店にとっては、
非常に寂しくなるような質問をされることがあります。
都心の防火地域では木造の家が非常に少ないので、
そう思われることもあるかと思います。
防火地域は商業施設周辺や駅周辺の地域または幹線道路周辺の地域で、
防火に関して最も厳しい規制がかかる都市計画法第9条20項で定められた地域の事です。
災害時に火災の延焼を極力減らすことが目的の地域とも言えます。
また建築基準法では準防火地域も含めて、
具体的にこの地域で建てることができる建物の制限内容が定められています。
その制限内容は建物の床面積と階数に関係があり、
防火地域で建てる建築物は耐火建築物か準耐火建築物としなければなりません。
防火地域における建物の耐火性能の分類
耐火建築物
建物の延べ床面積が100㎡を超える建物、または階数が3階以上(100㎡以下の場合でも)の建物
耐火建築物または準耐火建築物
上記以外の建物でその延べ床面積が100㎡以下でかつ階数が2階以下の建物。
上の表から・・・
例えば延べ床面積が80㎡でも階数が3階の場合には耐火建築物になります。
また階数が2階建ての建物でも延べ床面積が110㎡の建物は耐火建築物になります。
防火地域における特例
防火地域に建てる建物において耐火建築物または準耐火建築物としなくていい特例があります。
それはどのような建物かというと・・・
1.述べ面積が50㎡以内の平屋建ての付属建築物で外壁と軒裏が防火構造の建物
2.高さが2m以下の門や塀
3.高さが2mを超える門または塀で、それ自体を不燃材で造るかもしくは不燃材で覆ったもの
防火地域内で建てる耐火構造の建物には建ぺい率の緩和規定があります。
これは商業地域や都市計画法で定められる地域で、
建ぺい率が80%に制限されている地域は100%までその敷地内に建てることができるというもの。
ただし足場は自分の敷地内で建てなければなりませんので、
この緩和規定はあくまで理論上の事と考える方が正しいです。
準防火地域における建物の耐火性能の分類
建物の延べ床面積が1500㎡を超える建物、
または地階を除く階数が4以上の建物は耐火建築物になります。
建物の延べ床面積が500㎡を超えて1500㎡以下の建物は耐火建築物か準耐火建築物になります。
地階を除く階数が3の建物は耐火建築物か準耐火建築物、
または外壁の開口部など防火上の事項に関して技術的に適合する建築物とする。
階数が2以下で建物の延べ床面積が500㎡以下の建物は防火構造(一定の防火措置)になります。
防火地域における木造の家
今まで防火地域においては住宅を含めて耐火建築物の建物を建てる場合には、
鉄骨造や鉄筋コンクリート造でないと建てられませんでしたが、
近年この防火地域においても木造による耐火構造の建物を建てることができるようになりました。
これは一定の耐火性能を有すると国土交通大臣が認めた工法によるものです。
この大臣認定の木造耐火構造により都心の防火地域でも、
いままでは不可能だった3階建ての建物や100㎡を超える建物が可能になりました。
また余談ですが建設省告示第1399号が一部改正されて、
大臣認定以外の告示による木造耐火建築物が可能になりました。
これらの一連の動きによって、
防火地域による木の家の可能性が大きく開かれたことはいうまでもありません。
木造耐火構造の建物は外壁を2重に張り、
中も石膏ボードを2重に張らなければなりませんので、
化粧梁を見せたり真壁の和室を造ることはできません。
それでも構造体を木にすることができることが、
我々木の家づくりをしている工務店にとっては大変に喜ばしいことなんです。
現状の大臣認定の木造耐火構造は、
1時間耐火なので4階まで建てることが可能になりました。
今後2時間の主要構造体の耐火構造が実現すれば、
もっと高い建物を木造で建てることが可能になるんです。
部下地域でも木の家の良さを知ってもらえる機会が今後もっと増えるといいですね。
それでは次回をお楽しみに