木造の「4号特例の縮小」
おはようございます。
土手加藤材木店の加藤です。
今週に入り連日いきなりの猛暑でビックリですよね。
梅雨はいずこに・・・
長い夏になりそうですが体の方がまだ対応できていませんが、
水分補給と睡眠がとりあえずは大事と考える今日この頃です。
さて参議院選挙が始まりましたが、
今国会では建築物省エネ法の改正案が決定されました。
この改正省エネ法が大きくクローズアップされていますが、
実は住宅建築においてもう一つ大きな改正案があります。
木造住宅の構造計算を現行より一段厳しくするというもの。
私たち建築実務者の間では「4号特例」と呼んでいます。
今回は今後家づくりをしようとする人にも大変関係のある「4号特例の縮小」について取り上げてみたいと思います。
建築基準法第6条1項の中には1号から4号までの建築物の種類が定められていますが、
この4号はここに明記された4号建物の事です。
どういう建物かというと、
木造2階建て以下で床面積が500㎡以下の建物です。
つまり皆さんがこれから建てようとする住宅がこの4号建築物です。
ただし都心で多い木造3階建ては4号建物には該当しません。
4号規定はこれ以外にも様々な要件がありますが、
少しややこしくなるのでここでは説明は割愛します。
この国会で議論になったのが、
この「4号の特例」と呼ばれるものについての見直しです。
具体的に何の見直しかといえば「構造規定」の見直しになります。
建築基準法6条1項の1号~3号に該当する建物は確認申請時に構造計算が必要になりますが、
4号の木造の建物については特例で確認申請時に構造計算は免除されていて、
この事から「4号特例」と呼ばれていました。
この「4号特例」を縮小して、
確認申請時に耐震性に係る基本的な構造規定をきちんと定めようというのが最大の目的です。
この事から今後は壁量計算や構造図の添付が必要になります。
ただし許容応力度計算のような明確な構造計算ではなく壁量計算にとどまるようです。
実はこの「4号特例」についての議論は昔からありましたが、
様々な背景があり今まで見直しは見送られてきました。
今回この「4号特例の縮小」が本格化したのは、
省エネ化による断熱性能の高性能化により建物の重量化が進むということで、
少しこじつけている感は否めませんが、
長年の議論から一歩前進をしたという事は理解できます。
また建て主の多様なニーズにより住宅といえども大空間が求められる今の時代では、
構造規定が明確化することは設計者にとっても建て主側にとっても利益になると考えられます。
木造軸組み工法ではこの流れでいいですが、
全国では伝統工法による家づくりも有るという事も付け加えたいです。
伝統工法では通常での壁量の考え方ではいわゆる耐震性を確保することは難しいので、
別途限界耐力計算のような高度な構造計算でしか評価はできません。
この辺もきちんと整備をする必要があるように思います。